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コラム:ハワイ島でウニが異常増加!サンゴ礁に迫る回復不能の危機
2025/06/26

ハワイ島でウニが異常増加!サンゴ礁に迫る回復不能の危機

はじめに

2025年6月、ハワイ島の人気観光地ホナウナウ湾で、サンゴ礁の生態系がかつてない危機に直面しています。その原因は、異常なペースで増え続けるウニの群れです。最新の研究によると、このままでは「回復不能な水準」にまでサンゴ礁が破壊される恐れがあると警告されています。

本記事では、ウニ異常増加の背景、サンゴ礁への影響、原因、そして今後求められる対策について詳しく解説します。

ハワイ島で起きている「ウニ爆発」の現状

ホナウナウ湾でのウニ密度は、現在なんと1平方メートルあたり平均51匹。これは世界でも極めて高い密度で、過去数十年の中でも異例の数です。

特に影響が深刻なのはトゲウニ(Echinothrix calamaris)など、サンゴ礁表面を侵食する種類のウニ。彼らは日常的にサンゴの骨格である炭酸カルシウムを削り取っており、サンゴの成長スピードをはるかに上回るペースでサンゴ礁を破壊しています。

サンゴ礁の「回復力」を超えるウニの侵食速度

研究チームは、1980年代からのサンゴ礁の成長量を詳細に比較しました。

・1980年代の平均成長量:年間約15キログラム/平方メートル
・現在の成長量:年間わずか約0.5キログラム/平方メートル

つまり、過去40年間でおよそ30分の1にまで低下しています。

このままウニによる侵食が続けば、サンゴ礁の成長は完全に追いつかず、やがて海底からサンゴが消滅してしまうと警告されています。

なぜウニがここまで増えたのか?背景にある3つの要因

1. 天敵の魚類減少

もともとウニの数は、捕食者である大型魚(例えばフエフキダイやブダイなど)によって自然にコントロールされていました。しかし近年、過剰な漁獲によってこうした天敵が大幅に減少。結果として、ウニが爆発的に増殖する環境が生まれてしまいました。


2. 水質悪化と陸域からの流入

降雨時に陸から流れ込む農業排水や都市排水に含まれる栄養塩が、ウニの餌となる藻類の繁殖を促しています。このことでウニの生息条件がさらに良くなり、個体数が増えやすくなっています。


3. 気候変動による海水温上昇

さらに、地球温暖化による海水温の上昇も影響しています。高温ストレスでサンゴ自体が弱り、成長スピードが低下しているため、ウニによる侵食被害が一層深刻化しています。

このままでは「回復不能」に?研究者の警鐘

ノースカロライナ州立大学とハワイ大学の研究チームによれば、サンゴ礁の安定を保つためにはサンゴでの覆い率が少なくとも26%以上必要だといいます。しかし現在のホナウナウ湾では、この基準を大幅に下回っている状況です。

研究者は次のように述べています。

「このままでは、サンゴ礁は物理的に崩壊し、生態系としても機能を失う危険がある」

地元で進む対策と課題

この事態を受け、ハワイ州や地元NPO団体は以下のような対策に乗り出しています。

・漁業規制の強化:ウニの天敵となる魚類の保護
・水質改善策:農地管理の見直しや流域での植生回復
・サンゴ苗の植え付け:人工的なサンゴの再生プロジェクト
・市民ボランティアによるウニ除去活動

    ただし、これらの取り組みだけで短期的な解決は難しく、長期的なモニタリングと総合的な管理が必要とされています。

    観光客への呼びかけ:サンゴ礁を守るためにできること

    ホナウナウ湾は観光客に人気のシュノーケリングスポットでもありますが、訪れる人にも以下のような行動が求められています。

    ・サンゴに触れない、踏まない
    ・環境に優しい日焼け止めを使う
    ・ゴミの持ち帰りを徹底する
    ・ウニやサンゴを勝手に採取しない

      地域全体でサンゴ礁を守る意識を高めることが、回復への第一歩となります。

      まとめ:サンゴ礁を未来に残すために

      ハワイ島ホナウナウ湾で起きているウニの爆発的増加は、気候変動、人間活動、生態系バランス崩壊という複合的な問題が重なった結果です。いま私たちが適切な行動を取らなければ、かつて色鮮やかだったサンゴ礁は失われ、地域の観光、漁業、生態系全体に取り返しのつかない影響を及ぼすでしょう。

      持続可能な環境保全のため、政府、地域、観光客、研究者、すべての人が協力して、早急な対策が求められています。