コラム:2026年夏、記録的な暑さと大雨を気象庁が分析
2026年夏に観測された主な記録
- 西日本の平均気温:1946年の統計開始以降、3番目に高い夏となりました。40℃以上の酷暑日は延べ36地点で観測されました。
- 九州北部の降水量:8月は統計開始以降で最も少なくなりました。
- 千葉市の大雨:24時間降水量は367ミリ、1時間降水量は115ミリで、どちらも観測史上1位を更新しました。
- 台風の発生数:夏の発生数は17個。平年の11個を上回り、統計開始以降で3番目に多い水準でした。
西日本で暑さと少雨が続いた理由
気象庁によると、今夏は日本上空を流れる偏西風が大きく蛇行し、平年より北側を通りました。その影響で西日本には高気圧が張り出し、晴れた日が続きました。
高気圧に覆われると、上空から空気が地上へ向かって流れます。空気は下降する途中で圧縮されて暖まり、強い日差しや暖かい空気の流入も重なって、気温が上がりました。雨雲が発達しにくい状態も続いたため、少雨につながりました。
気象庁は、こうした気圧配置に加え、地球温暖化による大気全体の気温上昇も高温に影響したと分析しています。温暖化がなかった場合と実際の気候を比べる分析では、7月中旬から8月上旬の西日本の高温は、ほぼ発生し得なかったとされました。つまり、自然の大気の動きに温暖化の影響が重なり、暑さを強めたということです。
温暖化がなかった場合を実際に観測することはできないため、研究では気候モデルを使って仮想の条件を計算し、実際の気候と比べます。この分析は「暑さの原因は温暖化だけ」と示すものではなく、温暖化が高温の起こりやすさや強さにどの程度影響したかを見積もるものです。
千葉で記録的な大雨が発生した理由
千葉県の豪雨では、暖かく湿った空気が流れ込む一方、上空には寒気が入り、大気が非常に不安定になっていました。房総半島付近では、東からの湿った空気と、内陸でできた冷たい空気の境目に局地的な前線が発生しました。
その周辺で積乱雲が次々に発達し、同じ場所に強い雨を降らせる線状降水帯が形成されました。気象庁は、豪雨をもたらした線状降水帯の発生位置を数値予報モデルで十分に予測できなかったことも課題に挙げ、今後、予測精度の改善を進めるとしています。
台風第15号の進路や千葉豪雨には、偏西風が日本付近で南北に分かれたこと、南の海上に大規模な低気圧ができたこと、東海上に高気圧が停滞したことなど、複数の要因が関わりました。台風の発生数が多かった背景には、顕著なエルニーニョ現象が影響した可能性もあるとされています。ただし、エルニーニョだけで個々の台風や豪雨の発生を説明できるわけではありません。
暑さと大雨が同じ夏に起きるのはなぜ?
地域によって気圧配置や風の流れが異なるため、ある地域では高気圧に覆われて雨が少なくなり、別の地域では湿った空気が集まって大雨になることがあります。全国の平均値だけでなく、地域ごとの雨の量や、短時間に雨が集中する可能性にも注意が必要です。
雨の降り方に大きな地域差があると、豪雨災害への警戒と同時に、水不足への備えが必要になることもあります。農業や生活用水への影響を考えるうえでも、雨の総量だけでなく、いつ・どこに降るのかを見ることが大切です。
気候変動への備えと日頃の防災を
今回の分析は、暑さや大雨を「温暖化だけが原因」と単純化せず、目の前の気象条件と長期的な気温上昇の両方から考える大切さを示しています。温室効果ガスの排出を減らす取り組みと、変化する気候への備えを並行して進める必要があります。
- 暑さへの備え:熱中症対策に加え、職場や施設の空調、給水、屋外作業の時間帯を見直す。
- 少雨への備え:水の使用状況を確認し、節水や水の確保について準備する。
- 大雨への備え:ハザードマップや避難先を確認し、排水設備や連絡体制を点検する。
水害や台風の後には、浸水した家具・設備や泥などの災害廃棄物が発生します。自治体や事業者は、仮置き場所、分別方法、収集・処理の連絡先を平時から確認しておくと、被災後の復旧を進めやすくなります。
事業所では、重要な設備や書類を浸水しやすい場所に置かない、停電時の連絡方法を決めておくなど、事業継続計画も点検しておきましょう。
気象情報を日頃から確認し、地域や職場でできる備えを進めることが、被害を抑える第一歩です。